「通信制大学を卒業しても就職できない」は本当か?
通信制大学について調べていると「就職できない」という意見を目にすることがありませんか?
苦労して通信制大学を卒業したのに、就職できないとしたら…と不安になってしまいます。
しかし本当に出来ないのでしょうか? もしできないとしたら、どうすればできるのでしょうか?
様々な通信制大学を見てきた「進路アドバイザー ナガサキ」が、通信制大学生の就活環境や、各通信制大学別の就職支援事情について解説します!
通信制大学への進学を考えている人や、興味がある人はチェックしてください!
1.就職出来ないは嘘! ただ不利になる場合も
まず結論から申し上げると、通信制大学を卒業しても就職できないは嘘です。ただし、就職先によっては卒業の学歴が不利に働く場合もあります。
では実際にどのような企業で通信制大学が不利に、どのような企業が不利にならないのか、以下にまとめましたので一緒に見ていきましょう。
通信制が不利になる場合がある企業
・大企業
大企業」と呼ばれるような有名企業は就職希望者も多く、限られた採用枠を通学課程の学生と競い合うことになるため、採用率がは下がります。また大企業の多くは「学歴」を採用基準のひとつにしている場合も多く、通信制大学の学歴ではあまり評価されていないのが現状です。
通信制が不利にならない企業
・中小企業
一方で「中小企業」は学歴を重視していない場合も多く、通信制大学の学歴はあまり不利になりません。
学歴よりも、行動力や考え方、人となりを見られる場合が多いです。通信制大学について詳しい人事であれば、「卒業率が低い通信制大学を卒業した」という実績を評価してくれるかもしれません。
・国家資格を必要とする企業や機関
「国家資格」を必要とする場合には、国家資格の有無が一番の評価基準です。大卒であれば通学も通信も関係なく、大卒として一律に評価されます。特に教師や公務員は学校名よりも大卒かどうかが重要になります。
また国家資格を必要とする職業の中には、大卒と高卒ではキャリアや給与面で異なる場合があります。
例えば看護師や福祉・介護関係の仕事など国家資格が必要な職業は、専門学校でも資格を取得して就職することはできますが、大卒の方がキャリアや給与面で有利になるようです。そのため、一度就職した後に、通信制大学に通う方もいます。
その他、海外で就職する場合も、通信制は大卒の学位として認められるため不利にはならないでしょう。
2.就活の進め方・方法とは?
ここまで紹介したように、通信制大学を卒業しても就職することは可能です。
とは言っても、具体的にどのように就活を進めたら良いのでしょうか?通信制大学の場合は入学・卒業の時期が大学の通学過程とは異なります。
そのため、正社員で新卒入社を目指す場合には注意が必要です。
ここでは通信制大学生の就活方法として、3つご紹介します。
(1)大学の支援制度を使う
支援の内容は各大学によって異なりますが、通学過程の支援制度であっても通信制大学の学生が使用することは可能な場合もあります。
推薦制度の多くは通学過程ですが、大学によっては通信制も同じように対応してくれる場合がありますので、1度キャリアセンターに確認をすると良いでしょう。
(2)就職支援をしてくれる企業を利用する
対面で会うことができるエージェント型の支援企業がおすすめです。
(3)人とのつながり
この場合には、面接などの選考が簡単になるというメリットがある反面、万が一辞めたくなった時でも辞めにくいというデメリットがあります。
もし辞める場合には、入社してからも紹介してくれた人・誘ってくれた人に対して、辞める前に事前に相談するなどの配慮が必要です。
上記のように様々な方法を組み合わせた方が、就職出来る確率は高まります。並行して進めていきましょう!
3.就活時に気をつけること
ここでは「通信制大学を卒業してからの就活」という場合に気をつけることを、以下にまとめましたので、一緒に確認していきましょう。
(1)大学新卒と同じスケジュールで就活をしない。
先程も少し述べましたが、通信制大学は入学・卒業の時期が人によって異なります。通学過程の場合は、よっぽどのことがなければ大学4年生3月には卒業ができます。
中には就職が決まっていることを伝えれば、卒業のための単位をくれる事もあるようです。しかし通信制大学はそう簡単にはいきません。
就職が決まっていても卒業ができないケースもあるので、前倒しで就活を進めましょう!
(2)入試や時期が4月ではない可能性を理解してもらう。
通信制大学の場合は卒業時期の違いや、卒業の難易度によって、入社の時期を確定させることが難しいです。そのことを理解してもらえる会社かどうかを確認したり、就職予定の企業には予め入社時期が4月ではない可能性を伝えると良いでしょう。
(4)大手企業・有名企業にこだわらない
先程述べたような通信制大学であることが不利になる「大手企業」などランクが高い企業にこだわることは止めた方が良いでしょう。
4.【通信制大学別】就活支援事情一覧
最後に、各通信制大学の就職支援事情を一覧でご紹介します。
※情報は学校HP等を参考にしています。今後情報が追加され次第、随時更新していきます。
法政大学 通信教育課程
キャリアセンター:有
【一言メモ】
東京の市ケ谷・多摩・小金井の3キャンパスに専任職員、シニアアドバイザー(企業での採用経験者)、キャリアアドバイザーといった経験豊かなスタッフを配置。
キャリアセンター内にある資料や就職関連の図書・雑誌の閲覧も可能です。
中央大学 法学部 通信教育課程
キャリアセンター:有
【一言メモ】
央大学キャリアセンター(文系学部)を利用することができ、ガイダンスや相談など通学過程と同様な就職支援を受けることが可能です。
日本大学 通信教育部
キャリアセンター:有、ガイダンス:有、ウェブサービス:有
【一言メモ】
日本大学は就職支援が充実しており、通信制でも通学と遜色ない支援制度があります。卒業生の実績としても、伊藤園やコーセーなどの製造業、栃木ミサワホームやノーブルホームなどの建築業、キヤノンソフトウェアや大塚商会などの情報通信業と、様々な分野で実績があります。
明星大学 通信教育部
ガイダンス:有、ウェブサービス:有
【一言メモ】
「教育の明星」は学校の教師を目指す方が多く在籍しています。
そのため教員免許取得のための講習(ガイダンス)を用意していたり、WEBサイトで教員の求人情報を掲載していたりと、教員になりたい人に必要な情報を提供しています。
創価大学 通信教育部
キャリアセンター:有、ガイダンス:有
【一言メモ】
教員になりたい方向けに、教職キャリアセンターを設置。教員経験豊富な講師との個別相談・試験対策や情報誌の閲覧などが可能です。
また夏期スクーリング期間に、就職を目指す20代、30代を対象に、キャリアガイダンス(就活基礎講座)を開催しています。
就活の心構えやエントリーシートの書き方、面接指導などを実施しています。
帝京平成大学 通信教育課程
キャリアセンター:有、ガイダンス:有
【一言メモ】
通学課程と同様に、就職支援室による説明会などの指導を実施しています。
聖徳大学 通信教育部
キャリアセンター有
【一言メモ】
通学課程と同様のキャリア支援室(就職相談課)を利用することができます。
ただし通学過程は女子大学なので注意が必要です。(大学院は共学です。)
武蔵野美術大学 通信教育課程
キャリアセンター有、ウェブサービス:有
【一言メモ】
申請をすれば、進路情報システムを使用できるほか、「キャリア・アドバイザリー」制度によって、求人情報の公開、進路に関する個人面談、各種学内イベントへの参加などを行うことができます。
東北福祉大学 通信教育部
キャリアセンター有、ウェブサービス:有
【一言メモ】
通学過程と同様のキャリアセンターを利用することが可能です。
卒業生からの声を集めた機関紙やスクーリング時に学生同士が情報交換をしているようです。
ちなみに学校HP上での卒業生アンケートや声が充実しているので、気になる方は一度ご覧ください!
中部学院大学 通信教育部
キャリアセンター有
【一言メモ】
通学課程と同様のキャリアセンターを利用することが可能です。
直接就職支援とは関係ありませんが、同様に通信制で学んでいる人たちの交流の機会を定期的に設けているので、その際に情報交換が出来るかもしれません。
九州保健福祉大学 通信教育部
キャリアセンター有、ウェブサービス:有
【一言メモ】
キャリアサポートセンターを利用することが可能です。(定職に就いていない学生のみ)キャリアサポートセンターでは求人情報、資料を閲覧することができます。
また順正学園就職情報サイトの利用ができ、Web上での求人情報公開も行っています。※基本的に通学制を対象に掲載されているため注意が必要です。
大阪芸術大学 通信教育部
ウェブサービス:有、ガイダンス:有
【一言メモ】
通学過程と同様に就活WEBシステムを利用することができます。
求人情報のだけでなく、学内企業セミナーや就職支援プログラムも確認できます。
サイバー大学
ウェブサービス:有
【一言メモ】
通常の相談だけでなく、ビジネスの現場を体験するインターンシップも紹介可能です。
特筆すべきは、「サイバー大学就職支援制度」という、ソフトバンク株式会社への中途入社の選考プロセスを一部優遇する制度や、ソフトバンク株式会社が毎年実施している「就活インターン」に参加枠(5名)が設けられるなど、企業特性を活かしたサポートがあります。
日本福祉大学 通信教育部…ウェブサービス:有
◆メモ:通信制でも正科生の場合は、ウェブサービス上で公開している求人情報の閲覧が可能です。
早稲田大学 人間科学部eスクール…キャリアセンター有
◆メモ:通学過程と同様にキャリアサポートセンターを利用することが可能です。授業スクーリング時に確認してみてください。
佛教大学 通信教育課程…キャリアセンター:有
◆メモ:通学過程と同様にキャリアセンターの利用ができます。
佛教大学は教員免許状や社会福祉士などの資格を始め、多くの資格取得を目指せる通信制大学でもありますがから、資格を活かした就職先を探すことが出来ます。
大手前大学 通信教育部…ウェブサービス:有
◆メモ:通信制でも専門スタッフによるキャリアカウンセリングを行っており、正科生はパソコンやスマートフォンから、オンライン・キャリアサポートをWeb上で受けることができます。
また対面カウンセリングもあり、就職・転職に関する相談や、履歴書・職務経歴書の書き方などの相談も可能です。
吉備国際大学 通信教育部…キャリアセンター:有
◆メモ:キャリアサポートセンターで相談が可能です。求人情報、関係資料を閲覧することもできます。※令和3年度以降の募集停止
愛知産業大学 通信教育部
◆メモ:既に職業についている方が多いため、支援は行っていません。
ただ必要に応じて個別に情報提供や相談を行っているようなので、学校に問い合わせてみて下さい!
京都芸術大学(旧 京都造形大学) 通信教育部…キャリアセンター:有
◆メモ:通学過程と同様のキャリアセンターを利用することが可能です。
利用にあたって事前予約が必要ですが、求人票の閲覧や、履歴書の書き方、模擬面接などが可能です。
八洲学園大学…キャリアセンター:有、ウェブサービス:有、ガイダンス:有
◆メモ:キャリアセンターでは相談や、イベント・セミナーの開催、就職に役立つ情報の提供を対面やオンデマンドで実施しています。卒業生でも利用可能です。
東京通信大学…有
◆メモ:東京通信大学は2018年4月に開学したばかりの通信制大学です。学生サポートの一貫として、就職・転職の相談も可能ということです。
(まとめ)ポイントを押さえれば出来る!
いかがでしたでしょうか。通信制大学といえば、就業者が通う学校というイメージがあるため、就職サポートをしていない学校がほとんどでしたが、最近ではサポートをする大学も増えてきました。
また通信制大学は大卒資格以外にも、国家資格や民間資格など、様々な資格を取得するチャンスがあります。
職を叶えた人の中には、在宅でも試験対策ができるファイナンシャルプランナーや日商簿記3級、TOEICなど、資格取得が役に立ったということもあります。
こういった理由から「就職するために通信制大学に通う人」も増えてきています。
中には自衛隊に在籍中または在籍していた方が、民間企業に転職する準備として通信制大学を利用することもあるそうです。
通信制大学であっても方法を押さえて活動すれば、就職は可能です。ぜひ参考にしてみてくださいね!
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