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看護系大学と医療・看護専門学校のどちらを選ぶか

カリキュラムが異なる

看護師になるには文部科学省指定の学校か、または厚生労働大臣指定の養成所を卒業し、国家試験の受験資格を得ることが必須です。学校とは4年制大学、3年制の短期大学、専門学校、養成所のことを指します。学校の主な違いは、まずカリキュラムが大きく異なります。基本的に大学は理論を重視し、専門学校は実技を重視しているカリキュラムとなっています。

4年制大学では、多様化し高度化する医療に対応できるような看護師を育成するカリキュラムが組まれています。患者の状況をしっかり把握し、対応するために必要な判断力、実践力という基礎や土台を時間かけて培うことを目的としています。また、一般教養科目が充実しており、4年制だからできる幅広い分野を学ぶことが可能です。一方で幅広い知識を習得する必要があるので、いかに効率よく勉強できるか、勉強時間を確保するかが重要になります。専門学校は、卒業後に即戦力として勤務できるような看護のスキルを身につけることを目的としています。
そのため、修業年限は大学より1年短い3年制ですが、学習時間の3分の1が看護実習と言われるほど、カリキュラムの多くを実習に割いています。実習を多く経験することで卒業後に医療現場で働き始めたときに、即戦力として評価される強みがあります。学費を比較してみても、専門学校は修業年限が短いということもあり、大学の10分の1程度という専門学校もあるほどです。学費をあまりかけずに資格を取りたい、実務を身につけて現場で活躍したい、早く看護師になりたい方には専門学校がおすすめです。

取得できる資格が異なる

4年制大学、3年制の短期大学、専門学校、養成所すべてで卒業時に看護師国家試験の受験資格が得られます。4年制大学では他にも多くの受験資格を得ることが可能で、保健師、助産師、養護教諭二種免許の受験資格を得られる大学もあります。3年制の短期大学でも養護教諭二種免許を取得できる学校があります。また、専門学校でも保健師・看護師統合カリキュラム校であれば、保健師国家試験の受験資格が取得可能です。学校によっては専門士の称号が付与されるところがあります。

定時制や統合カリキュラム校の場合、修業年限は4年間になります。保健師や助産師、専門看護師などを目指す場合は、受験資格が得られる4年制大学、またはカリキュラム校を選択することが必要です。また、4年制大学を卒業すると看護学の学士を取得できるので、履歴書に大学卒と記載することができます。職場によっては就職する際に有利になるケースがあり、大学院への進学を希望することも可能です。

実際に職場で働き始めると、専門学校の卒業生は実習を多く経験しているので、医療の現場に慣れるのが早く、即戦力として活躍する傾向があります。ただ、4年制大学の卒業生は業務に慣れてくると、学生時代に身につけた知識や理論を活かし、効率良く業務を進めるようになるため、遅れを挽回して行きます。3年制の短期大学では3年次に4年制大学に編入学することが可能ですが、一方で専門学校にも編入学資格を得られる専修学校があり、3年次に4年制大学に編入学することが可能です。保健師との統合カリキュラム校もあるため、3年制の短期大学と4年制大学の両方のメリットを取り入れた学校も出てきています。

選ぶポイントは自分の未来をどう描くか

医療の現場で働きたい方は看護大学を選ぶのか、専門学校を選ぶのか悩む方が多いようです。現在は医療の高度化、多様化に伴い、看護師の業界も高学歴志向が高まり、4年制大学に進学を希望する学生が増えて来ています。ただし、早く学校を卒業して、少しでも早く医療の現場で働きたいという学生が少なくないのも事実です。実際に現場で働いている看護師の約4割は専門学校の卒業生という現実もあります。同じ看護師でも働き方は多様化しており、働く職場も病院や医療施設に留まらず、介護福祉施設や障害児の保育施設、医療や福祉の人材を育成する教育機関など幅広い分野に及んでいます。

これから資格の取得を目指す方は、まず、自分が進みたい道を明確にイメージすることが大切です。そして、そこに辿り着くまでにどういうルートを選べば、もっとも効率的なのか見極めることがポイントと言えます。なるべく早く医療の現場に出て、必要なスキルを身につけ磨いて行きたいと考えるのか、幅広い知識を習得しながら、医療だけでなく福祉分野にも関わっていきたいのか、または将来、研究したい分野を見つけたいのかなど将来の展望がはっきりしてくれば、自然と自分が進学する学校を選ぶことができるようになります。
現場で働くことも、研究を続けることもこれからの医療の質を高める上でとても大切なことです。自分が医療の仕事にどのように関わりたいのか、また適性も考えながら、どのルートが自分に合っているのかじっくり検討して進路を決めるようにしましょう。