「平成27年度学校基本調査」(文部科学省 平成27年12月公表)の調査結果によると、全国の専門学校数は2,823校となっていて、その設置者区分は、国立9校、公立190校、私立は2,624校と全体の93.%となっています。各種専門学校に入学し各学科を専攻している方(専門学校在籍者数)は588,183人で、そのうち女子は334,628人、男子253,555人となっています。
もう少し詳しく見ていくと、専門学校入学者は約29万人。そのうち約70%が高校を卒業したばかりの方となっています。
文部科学省の様々な調査結果を調べていくと、大学・短大を卒業した方の就職率が低くなると、その反対に各種専門学校への入学者、進学者が多くなる傾向があり、逆に大学・短大を卒業した方の就職率が高くなると、各種専門学校への入学者、進学者が少なくなる傾向にあると言われています。リーマンショックや付随する経済状況によって冷え込んだ世界的経済を背景にした就職戦線では、仕事を求める就職活動者にとって厳しくなりつつあります。
見直される各種専門学校の存在意義と役割
少し時間をさかのぼりますが、昭和51年に学校教育法の一部が改正されて、専修学校制度が開始しました。この改正によって、それまで認可されてきた各種学校よりも、より厳しい設置基準をクリアした専修学校が誕生し、高度成長期まっただ中の日本社会が求める、確かな技術と知識を持つ、即戦力となる人材の育成にしっかりと応えてきました。 その後、専修学校制度20年目となる平成6年6月にさらに専修学校制度の一部が改正されました。
専修学校制度改正の内容は、従来の専修学校について、①修業年限2年以上、②総授業時間数1,700時間以上、③試験により成績評価を行い、その評価に基づいて課程修了の設定を行っている、などの各要件を満たしている専門課程を卒業したものは専門士と称することができる、とあります。 この専門士は大学卒の学士、短大卒の準学士とは違い、実践的・専門的な職業教育や技術・知識教育の学習成果の適切な評価が狙いです。 また理学療法士の養成課程がある4年制専門学校の卒業生には「高度専門士」の称号が与えられ、さらに大学院入学資格が与えられます。 4年制の職業訓練や教育が年々高度になっていることを受けて、修了者の学習成果を正当に評価し、社会的地位を高めることが狙いです。
魅力ある、より専門性の高い各種専門学校の良質な教育プログラム
このように専修学校制度ができて三十数年、高度成長期に始まる日本社会のニーズに応えることで飛躍的な発展・進化を進めてきた各種専門学校も今や転換期を迎えようとしています。 これからはより高品質な教育プログラムを再構築し、各大学との連携や生涯学習への対応などを通じて、社会のニーズから生まれた様々な課題に挑戦しながら、時代の、社会の要請にどのように応えていくのか、各種専門学校の役割は見直されつつあります。
こうした背景から、各種専門学校ごとに特色ある学科や教育プランが次々と生まれおり、夢を叶えたい、憧れの仕事に就きたい、就職に有利な資格と技術・知識を身につけたいと願う高校生、大学生、社会人のそれぞれから注目を浴びる存在となっていくでしょう。