働きながら自分のペースで大卒資格や国家資格等を目指せる通信制大学。「試験がない」「入学しやすい」とよく聞きますが、実際の合格率はどうなのでしょうか?ほとんどの通信制大学は書類選考と言われていますが、大学によって多少提出書類に違いがあるようです。そういった情報から合格率が心配になる人も多いのでしょう。
今回は通信制大学の「入学方法」「合格率」に注目してみました。社会人やフリーター、高校生・大学生の方で通信制大学を検討している人はぜひ参考にしてくださいね。
通信制大学に合格率はあるのか
まず結論から申し上げると、通信制大学に合格率はほぼなく、入学条件を満たしている人は基本的に入学できます。
「ほぼ」な理由としては、早稲田大学人間科学部eスクールは合格率ではないですが倍率を公表しているのと、不合格の可能性が0ではないからです。例えば、書類選考の志望理由書や小論文の内容などで落ちることもあると聞きます。
倍率を公表している早稲田の通信制大学は、2022年度入試倍率が「αコース 1.2~1.4倍」「βコース 2.3~2.6倍」でした。αコースは2年次編入学コースで、βコースは1年次入学コースのようです。つまり、早稲田eスクールは1年次入学の合格率の方が厳しいということになります。
早稲田は通信制大学には珍しく、書類選考と面接試験のある大学です。書類選考を通った人のみが面接試験に挑めるようなので、合格率・倍率が存在し、書類選考も厳しい可能性が考えられます。
早稲田同様に通学課程の偏差値が高い通信制大学の一つである慶応義塾大学は、合格率は公開していませんが、噂によると不合格になることがあるそうです。なぜ噂が出ているのか真相は分かりませんが、慶応義塾大学は書類選考のみなので「偏差値の高い有名大学だから」「募集人数よりも入学者数の方が少ないから」という理由が合格率の噂と関係している場合もあります。
しかし、どの通信制大学も特別な事情がない限り、募集人数は多めに設定しています。特別な事情というのは、例えば保育系のように少人数制で実習をする通信制大学は定員を数十人に設定している場合などです。定員のある通信制大学であっても、正科生でれば基本的には余裕を持って設定されているそうなので、行きたい通信制大学なら合格率の噂は気にせずに挑戦してみましょう!
通信の入学条件や選考方法
合格率に近いものが早稲田の通信制大学には存在し、面接試験もあることが分かりましたが、その他の通信制大学にはどのような入学方法や入学条件があるのでしょうか?今回は関東と関西にある通信制大学から「法政大学」「近畿大学」をピックアップしてご紹介します。
法政大学 通信教育部
法学部、文学部、経済学部の3学部を設置。学科は6学科で学科としては法律学科、日本文学科、史学科、地理学科、経済学科、商業学科があります。
教員免許状のほかに、通信制大学では唯一「測量士補」の申請資格も得られる大学です!
<正科生(1年次入学)の入学条件>
・高校または中等教育学校卒業者
・通常の課程による12年の学校教育を修了した者
・外国で学校教育12年の課程を修了した者、または、これに準ずる者で文部科学大臣の指定した者
など
<選考方法・出願書類>
書類選考のみ。
出願書類は写真2枚、志願書(学科別)、出身校の必要書類、住民票、各種証明書類
<募集時期>
4月入学と10月入学の年2回
法政大学では合格率の公表はされていないようです。出願時の注意点としては学科ごとに志願書が異なること。合格率が公表されていないからと安心せず、出願書類の不備やミスがないように注意しましょう。
近畿大学 通信教育部
4年制の通信制大学(法学部法律学科)のほかに短期大学部商経科も設置された通信制大学です。
法学部(4年制)では、法学の基本知識やリーガルマインド、ビジネスに役立つ「商法」「会社法」、生活に関わりが深い「民法」など、仕事の実務や日常生活に結びつく法律をじっくり学べます。
<正科生(1年次入学)の入学条件>
・高校を卒業された方
・大学や短大を卒業/退学された方
・高等学校卒業程度と認められる方
など
<選考方法・出願書類>
書類選考のみ。
出願書類は、最終学歴によって異なります。例えば、高校卒業した方の場合は「卒業証明書」「高校の調査書」、短大や大学を卒業した人は「卒業した大学や短大の卒業証明書」が必要となるようです。
<募集時期>
4月入学と10月入学の年2回
近畿大学も合格率は公表していません。こちらも入学条件を満たし、書類の不備などがない限りは入学できるでしょう。
多くの通信制大学で合格率は公表されておらず、「高校卒業」「大学や短大を卒業/退学」「海外で同等の教育を受けた」などの入学条件を満たし、書類の不備がなければ入学できるようです。
中卒の人は、特修生という制度を設けている通信制大学もあります。これは1年間「特修生」として学ぶことで、翌年その通信制大学の正科生としてであれば大学に入学できるという制度です。特修生制度にも合格率は存在しないのと、すべての通信制大学にある制度ではないことに注意してください。
通信に偏差値はある?合格率との関係性は?
卒業証明書が必要な通信制大学が多いですが、偏差値が合格率に関係するのか気になる人も少なくないでしょう。通信制大学の書類選考に必要な「卒業証明書」には成績の記載はありません。一方で「成績証明書」が必要な通信制大学の場合は、高校の成績が大学側に伝わりますが、偏差値が合否に直接関係するわけではないそうです。
しかし、合格率はなくても卒業のことを考えると自分の偏差値と大きく違う通信制大学は、勉強の負担が出てくる可能性も考えられます。特に通学課程もある通信制大学は、通学課程の偏差値も課題の難易度の参考にしてもいいかもしれません。
卒業率の高い通信制大学も、偏差値は関係なくどの大学も書類選考となります。例えば、サイバー大学は「卒業証書、入学願書、志望動機書」、東京未来大学は「入学志願票、健康診断書、誓約書、入学資格証明書類(卒業証書や成績証明)」など、成績証明書が必須の通信制大学は少ないようです。
ただし、東京福祉大学は書類選考のなかには「小論文」が入っていました。内容次第では合否に関係し、合格率も公表されていないだけで不合格の人が0ではない可能性も考えられます。同じ書類選考でも提出書類に多少の違いがあるので、しっかり確認しましょう。
通信制大学の出願から学習開始までの流れ
通信制大学には合格率も偏差値もほぼ存在しないことが分かりました。では、出願から学習開始(大学入学)までにどのような流れを通る必要があるのでしょうか?ここではweb出願から始まる「星槎大学」と願書セットなどの資料請求から始まる「九州医療科学大学」を例に解説します。
星槎大学 通信教育課程
神奈川県にある通信制大学です。共生科学部のみで、正科生は「共生科学専攻」「初等教育専攻」「福祉専攻」「スポーツ身体表現専攻」「グローカルコミュニケーション専攻」に分かれて専門科目を深く学びます。
<出願から学習スタートまで>
1.web出願フォームで必要事項を入力
2.星槎大学からメール送付
3.メールを確認し、必要書類の送付
4.書類審査
5.合格者には星槎大学から入学手続き書類を送付
6.入学諸費用の振込
7.履修科目登録
8.星槎大学からの学納金等の書類送付
9.学納金の振り込みや教材購入
10.学習開始
九州医療科学大学 通信教育部
宮崎県にある通信制大学です。学部学科は社会福祉学部臨床福祉学科のみ。福祉学と心理学を合わせて学べるカリキュラム構成となっています。学士のほかに、社会福祉士受験資格や高等学校教諭一種(福祉)、認定心理士などを目指せます。
<出願から学習スタートまで>
1.入学志願書の作成(願書請求フォーム)
2.入学検定料の振込
3.出願書類の提出
4.書類選考
5.合否通知の送付
6.入学手続き
7.正科生は履修届の提出
8.学生証・主教材の配布
9.学習開始
どの通信制大学もおおむね上記のような流れになっています。細かな違いとしては、「web出願」の有無や教材を自分で購入するか配布されるかというところ。近年web出願は増えていますが、どの通信制大学も書類郵送などのweb以外の手続きはあるようです。
教材購入も通信制大学を通して購入する場合と、書店や通販で自身でそろえる場合があります。学習スタートの前に教材の準備についても確認しましょうね。
ほとんどの通信制大学に合格率は存在しない
今回は通信制大学の合格率を中心に解説しました。ほとんどの通信制大学に合格率は存在しません。書類の不備や入学条件を満たしていなかったということがなければ、入学の難易度は非常に低いです。
ただし、卒業のことを考えると通学課程がある通信制大学なら、偏差値なども確認し、課題の難易度が自分に合っているか検討してもいいでしょう。通信制大学によっては公開授業動画を見られる大学や、体験入学ができる通信制大学もあります。資料請求や学校説明会などにも参加し、自分の目で自分に合っている通信制大学を見つけてくださいね。