「通信制大学で工学部に進学したい」「働きながら工学を学べる大学はある?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、通信制大学でも工学系の分野を学ぶことは可能です。通学制の大学に比べると工学部の選択肢は限られますが、情報科学や建築学など、工学に関わる分野を通信教育で学び、大学卒業を目指せる大学があります。
この記事では、工学系を学べる通信制大学や学べる内容、目指せる資格、大学選びのポイントを分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 通信制大学でも、情報科学や建築学などの工学系分野を学べる
- 代表的な選択肢として、帝京大学の理工学部情報科学科と近畿大学の建築学部がある
- 「工学部」という学部名だけでなく、学べる分野・取得できる学位・学習方法で比較することが大切
目次
- 通信制大学に工学部はある?
- 工学系を学べる通信制大学2選
- 通信制大学で学べる主な工学系分野
- 通信制大学で工学部を学ぶ3つのメリット
- 通信制大学で工学部を学ぶ際の3つの注意点
- 通信制大学の工学部で目指せる資格・免許
- 通信制大学の工学部・工学系を選ぶ5つのポイント
- 通信制大学の工学部についてよくある質問
通信制大学に工学部はある?
通信制大学でも工学部を学ぶことはできます。
ただし、文学・心理学・福祉などと比べると、通信教育で工学を学べる大学は多くありません。
通信制大学で工学系の選択肢が少ない理由
工学は、実験や実習、専用の設備を使った授業が必要になる分野が多いのが特徴です。
そのため、通信制大学では、通学制大学のように機械工学・電気電子工学・化学工学・土木工学など、幅広い工学分野がそろっているわけではありません。
一方で、パソコンを使った学習と相性の良い情報科学や、オンライン授業と演習を組み合わせて学べる建築学などは、通信教育でも学ぶことができます。
「工学部」という学部名だけで探さないのがポイント
通信制大学で工学を学びたい場合は、「工学部」という名称だけで探さないことが大切です。
たとえば、工学系の分野を学べる通信制大学には、次のような学部・学科があります。
- 帝京大学:理工学部 情報科学科 通信教育課程
- 近畿大学:建築学部 建築学科 通信教育課程
近畿大学のように「建築学部」という名称でも、建築学は工学系に位置づけられる代表的な分野の一つです。
大学を選ぶときは、学部名だけではなく、何を学べるのか、どのような学位を取得できるのかまで確認しましょう。
工学系を学べる通信制大学2選
通信制大学で工学系の分野を学びたい場合、代表的な選択肢として帝京大学と近畿大学があります。
| 大学 | 学部・学科 | 主な学習分野 | 卒業時の学位 | 関連する資格・免許 |
|---|---|---|---|---|
| 帝京大学 | 理工学部 情報科学科 通信教育課程 | 情報科学・プログラミング・ネットワークなど | 学士(工学) | 高等学校教諭一種免許状(情報) |
| 近畿大学 | 建築学部 建築学科 通信教育課程 | 建築設計・構造・環境・法規など | 学士(建築学) | 一級建築士試験の受験資格 |
同じ工学系でも、2校で学べる内容は大きく異なります。
情報科学を学びたいのか、建築学を学びたいのかなど、自分の興味や将来の目標から大学を選ぶことが大切です。
帝京大学|情報科学を学び、学士(工学)を目指せる
帝京大学の理工学部 情報科学科 通信教育課程では、情報科学を中心に工学系の知識を体系的に学べます。
卒業すると「学士(工学)」の学位を取得できます。
カリキュラムでは、数学・物理・化学・情報などの基礎から、情報科学やデータサイエンス、ロボティクスなどの専門分野まで学びます。
- 情報基礎
- 基礎数学
- 線形代数
- 微積分学
- 情報技術基礎
- プログラミング
- コンピュータネットワーク
- Web技術
- データ構造とアルゴリズム
情報技術だけを学ぶのではなく、数学や情報科学の基礎から段階的に学べるのが特徴です。
学習方法
- メディア授業:インターネットを利用して受講
- テキスト授業:教材を使って自宅で学習
- スクーリング授業:大学などで受講
必修のスクーリング科目にはメディア授業も用意されているため、スクーリング授業を受講せずに卒業を目指すことも可能です。
こんな人におすすめ
- 情報科学を大学で体系的に学びたい人
- プログラミングだけでなく数学やアルゴリズムも学びたい人
- 働きながら学士(工学)の取得を目指したい人
- 高校の情報科教員も視野に入れたい人
近畿大学|通信教育で建築学を体系的に学べる
近畿大学は、2025年4月に建築学部 建築学科 通信教育課程を開設しました。
建築学は、建築物の設計だけでなく、構造・環境・施工・法規などを扱う工学系の分野です。
近畿大学では、主に次のような内容を学びます。
- 建築設計
- 建築計画
- 建築構造
- 建築環境
- 建築生産
- 建築法規
- 都市・まちづくり
講義だけではなく、設計演習など実践的な学習も組み込まれています。
オンライン授業と対面授業を組み合わせながら学ぶため、通信教育でありながら建築学を体系的に学べるのが特徴です。
卒業すると「学士(建築学)」を取得できます。また、所定の指定科目を履修することで、一級建築士試験の受験資格も目指せます。
こんな人におすすめ
- 建築学を基礎から体系的に学びたい人
- 働きながら建築分野を学びたい人
- 建築学の学位取得を目指したい人
通信制大学で学べる主な工学系分野
工学には、機械・電気電子・情報・建築・土木・化学など、さまざまな分野があります。
ただし、通信制大学ですべての工学分野を学べるわけではありません。
現在、通信教育で学べる代表的な工学系分野としては、情報科学や建築学などがあります。
情報科学
情報科学では、コンピュータや情報技術について、基礎理論から実践的な技術まで幅広く学びます。
主な学習内容には、次のようなものがあります。
- プログラミング
- アルゴリズム
- コンピュータネットワーク
- Web技術
- データサイエンス
- 数学
単にプログラミング技術を身につけるだけではなく、コンピュータの仕組みや数学的な考え方も含めて学べるのが大学で学ぶ特徴です。
帝京大学では、こうした情報科学を理工学部の通信教育課程で学ぶことができます。
建築学
建築学では、建物のデザインだけではなく、安全性や快適性、施工方法、法規などについて幅広く学びます。
主な学習分野には、
- 建築設計
- 建築計画
- 建築構造
- 建築環境
- 建築生産
- 建築法規
などがあります。
建築学は設計や構造など実践的な学習も重要になるため、大学を選ぶ際は、スクーリングや演習の実施方法も確認しましょう。
通信制大学で工学部を学ぶ3つのメリット
通信制大学で工学部を学ぶ大きなメリットは、毎日の通学が難しい人でも専門的な学習を始められることです。
1.働きながら大学卒業を目指せる
通信制大学は自宅での学習が中心で、学習スケジュールを自分で組み立てやすいのが特徴です。
そのため、
「高校卒業後に就職したけれど、大学で工学を学び直したい」
「仕事を続けながら専門知識を身につけたい」
といった社会人にも向いています。
仕事や家事と両立しながら、専門知識の習得と大学卒業を目指せる点は大きなメリットです。
2.住んでいる地域に左右されにくい
工学を学びたいと思っても、自宅の近くに希望する大学があるとは限りません。
通信制大学なら、オンライン授業や教材を使った自宅学習が中心になるため、通学できる範囲だけに大学選びを限定する必要がありません。
ただし、大学や履修する科目によってはスクーリングが必要になる場合があります。
入学前に、スクーリングの場所や回数を確認しておきましょう。
3.専門知識を学びながら学士の取得を目指せる
工学系の専門知識は、民間スクールやオンライン講座で学ぶこともできます。
一方、正規の通信制大学で必要な単位を修得して卒業すれば、「学士」の学位を取得できます。
たとえば、
- 帝京大学:学士(工学)
- 近畿大学:学士(建築学)
を取得できます。
専門知識だけを学びたいのか、大学卒業や学位取得まで目指したいのかによって、自分に合った学び方を選びましょう。
通信制大学で工学部を学ぶ際の3つの注意点
通信制大学には多くのメリットがありますが、「通信なら簡単に卒業できる」というわけではありません。
特に工学系では、学べる分野や学習方法を事前に確認することが重要です。
1.学べる工学部が限られている
工学には、機械工学、電気電子工学、情報工学、建築学、土木工学、化学工学などさまざまな分野があります。
しかし、通信制大学ですべての分野を学べるわけではありません。
そのため、「通信制の工学部に入りたい」と考えるだけでなく、工学の中で何を学びたいのかを明確にする必要があります。
学びたい分野を先に決めてから、対応する通信制大学を探すのがおすすめです。
2.スクーリングが必要になる場合がある
通信制大学でも、大学や履修科目によってはスクーリングが必要です。
オンライン中心で学べる大学もありますが、実験や実習、演習を伴う科目では対面授業が設定されている場合があります。
大学を選ぶ際は、次の点を確認しておきましょう。
- スクーリングは必須か
- オンライン授業で代替できるか
- どこで開催されるか
- 年に何回程度参加する必要があるか
特に仕事をしながら学ぶ場合は、通学の負担まで考えて選ぶことが大切です。
3.自分で学習を進める力が必要
通信制大学は自由度が高い一方、自分で学習時間を確保し、計画的に単位を取得していく必要があります。
工学系では、数学や専門科目など、前に学んだ内容が次の学習につながることも多くあります。
分からない部分をそのままにしないためにも、
- 質問できる環境があるか
- オンラインでサポートを受けられるか
- 学習システムが使いやすいか
といったサポート体制も確認しておきましょう。
通信制大学の工学部で目指せる資格・免許
通信制大学で工学を学ぶ目的として、資格や免許の取得を考えている人もいるでしょう。
ただし、資格によって、
- 大学で所定の科目を履修することで取得・受験資格につながるもの
- 大学で学んだ知識を資格試験の勉強に生かせるもの
があります。
IT・情報系の資格
情報科学を学ぶ場合、次のようなIT系資格への挑戦が考えられます。
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
これらは、大学を卒業すれば自動的に取得できる資格ではありません。
それぞれの試験に合格する必要がありますが、大学でプログラミングやネットワーク、アルゴリズムなどを学ぶことは、試験に必要な知識を身につけるうえでも役立ちます。
高等学校教諭一種免許状(情報)
帝京大学には教職課程が設置されており、所定の科目を修得することで高等学校教諭一種免許状(情報)の取得を目指せます。
情報科学を学びながら、高校の情報科教員を目指したい人にとっても選択肢になります。
建築士
近畿大学建築学部では、所定の指定科目を修得して卒業することで、一級建築士試験の受験資格を目指せます。
ただし、試験合格後に一級建築士として免許登録するためには、実務経験などの要件があります。
資格取得を目的に大学を選ぶ場合は、受験資格だけでなく、その後に必要となる条件まで確認しておきましょう。
通信制大学の工学部・工学系を選ぶ5つのポイント
工学を学べる通信制大学は選択肢が限られているからこそ、大学名だけではなく、カリキュラムや学習方法を比較することが大切です。
1.学びたい工学分野があるか
最も重要なのは、自分が学びたい分野と大学のカリキュラムが合っていることです。
工学といっても、
- 情報科学
- 機械
- 電気電子
- 建築
- 土木
- 化学
など、分野によって学ぶ内容は大きく異なります。
まずは「工学を学びたい」だけでなく、どの分野を学びたいのかを整理しましょう。
2.取得できる学位
卒業時に取得できる学位も確認しておきたいポイントです。
たとえば、
- 帝京大学:学士(工学)
- 近畿大学:学士(建築学)
となっています。
大学によって取得できる学位は異なるため、将来の大学院進学やキャリアも含めて確認しておきましょう。
3.スクーリングの場所・回数
働きながら学ぶ場合、スクーリングへの参加が可能かどうかは重要です。
特にオンライン中心で学びたい人は、
- スクーリングは必須か
- オンラインで代替できるか
- どこで開催されるか
- 土日にも受講できるか
などを確認しましょう。
自宅からの距離や仕事との両立まで考えて選ぶことが大切です。
4.資格や将来の進路につながるか
資格取得や転職、キャリアアップを目的としている場合は、大学での学びが将来の目標につながるかも確認しましょう。
たとえば、
- IT系資格の勉強につながるか
- 教員免許を取得できるか
- 建築士試験の受験資格につながるか
などです。
「何を学べるか」だけでなく、卒業後に何を目指せるかまで考えると大学を選びやすくなります。
5.卒業までにかかる学費の総額
年間授業料だけで判断せず、卒業までに必要な費用の総額を比較することも大切です。
大学によっては、
- 入学金
- 授業料
- スクーリング費用
- 教材費
- システム利用料
- 交通費・宿泊費
などが必要になる場合があります。
「1年間でいくらかかるか」だけではなく、卒業までに総額でどのくらい必要になるのかを確認しましょう。
通信制大学の工学部についてよくある質問
通信制大学でも工学部の学士を取得できますか?
取得できます。
たとえば、帝京大学の理工学部情報科学科通信教育課程を卒業すると、「学士(工学)」を取得できます。
また、近畿大学建築学部建築学科の通信教育課程では、「学士(建築学)」を取得できます。
通信制であっても、正規の大学課程を卒業すれば学士の学位を取得できます。
工学部の通信制大学は完全オンラインで卒業できますか?
帝京大学の情報科学科では、必修のスクーリング科目にメディア授業も用意されているため、スクーリング授業を受講せずに卒業を目指すことも可能です。
一方、実験や実習、演習が必要な分野では対面授業が設定される場合があります。
できるだけオンライン中心で学びたい場合は、入学前に最新の履修要項を確認しましょう。
文系出身でも工学部の通信制大学に入学できますか?
高校時代の文系・理系だけで入学資格が決まるわけではありません。
高等学校を卒業しているなど、大学が定める入学資格を満たしていれば出願できます。
ただし、工学系では数学を使う科目が多いため、入学後に必要となる数学や理科の内容を事前に確認しておくと安心です。
数学や物理が苦手でも工学部で学べますか?
工学系では、数学や物理が必要になる場面があります。
特に情報科学では、基礎数学や線形代数、微積分学などを学ぶ場合があります。
そのため、数学をまったく使わずに工学を学ぶのは難しいでしょう。
ただし、基礎科目から学べるカリキュラムが用意されている大学もあります。苦手だからといって、工学系への進学をすぐに諦める必要はありません。
高卒からでも通信制大学の工学部に入学できますか?
大学入学資格を満たしていれば、1年次から入学できます。
また、大学・短期大学・専門学校などでの学習歴によっては、編入学できる場合もあります。
入学年次や編入条件は大学によって異なるため、出願前に募集要項を確認しましょう。
まとめ|通信制大学でも工学部の分野を学べる
工学を学べる通信制大学は、通学制大学と比べると多くありません。
しかし、情報科学を学べる帝京大学や、建築学を学べる近畿大学など、通信教育で工学系の専門分野を学べる選択肢があります。
通信制大学を選ぶ際は、「工学部」という学部名だけで判断せず、
- 学びたい工学分野
- 取得できる学位
- 学習方法
- スクーリングの有無
- 目指せる資格や進路
- 学費
- 学習サポート
などを比較することが大切です。
まずは「工学の中で何を学びたいのか」を整理し、自分の生活スタイルや将来の目標に合った通信制大学を探してみてください。

