大学と専門学校への進学で迷ったら
現代では、高等学校への進学が中卒者全体の90%を超えており、高校の義務教育化も議論されています。中卒で就職する者の数は年々減少しており、高校卒業後の進路に最も関心が高まっています。昔は金の卵と言われていた高卒就職でしたが、複雑化する社会のニーズに対応するためには専門的な知識や技能が必要となることから、高校卒業後に上級学校への進学を希望する若者の数は上昇傾向にあると言えるでしょう。
高校卒業後の進路で最も迷うことが多いのは、大学、専門学校のどちらに進学すればいいのかということではないでしょうか。大学では、一般教養の学習にも多くの時間を割き、学部ごとに教育や工学、農学、医学などさまざまな専門分野の学問を追究しますが、特定の職業に特化した教育ではないという共通点があります。
例えば、英文学部を卒業しても教員、旅行関連会社、一般企業など、さまざまな職種に就職することとなり、大学で専攻した学問と直接関係がなかったり、大学の勉強だけでは職務の遂行に知識や技能が不足したりすることも少なくありません。エントリーシートの作成、提出から始まる就活によって、企業の説明会などに参加し、幅広い選択肢のなかから内定を得た企業に就職することがほとんどです。大学で学んだ学習内容に関連がある仕事というよりも大学卒業という肩書だけが条件となって就職することが多いのではないでしょうか。
専門学校では、職場の即戦力となるべくひとつの専門分野について深く学習を重ね、実習などで経験も積みます。就活の際も広く浅く仕事を探すのではなく、ひとつのジャンルのなかで求職することになります。広い選択肢がない分、特定の業界や職種と直結していることも多いため、過去の卒業生が活躍している企業からは直接求人が舞い込みます。スタッフも現場で求められているスキルや資格の種類やレベルを熟知しているため、十分なサポート体制がとることができるのです。
大学と専門学校の関係性
広く浅く学びキャンパスライフで生涯の仲間をつくることができる大学と、ひとつの専門分野を深く掘り下げて学び、現場で即戦力となれるスキルや資格を身につけることを目的として進学する専門学校には、進学に対する目的意識や学校生活の送り方に大きな違いがあります。
しかし、この2つは完全に分離された進路ではなく、大学を卒業してから希望する職種に必要な資格を取得するため、または、社会人となってからキャリアアップを図るために専門学校に進学することもあります。また、逆に専門的な技術やスキルを学びながら途中で大学へ編入学することもあるでしょう。さらに、志望していた大学が不合格となり、予備校などで費用をかけて浪人生活を送るよりも、途中編入学で希望する大学へ入ることを目的として活用することもできます。
例えば、2年間の総授業時数1,700時間以上という基準をクリアすれば、4年制大学の2年次もしくは3年次に編入学できる制度があります。最短のコースを進んだ場合、2年の修了で「専門士」、大学卒業で「学士」の2つの称号を4年間で取得することも夢ではありません。
難関大学や名門大学と言われる大学への編入学は、商業実務分野のある語学系の学校が強いと言われています。これは、編入学試験の受験科目等に小論文、英語、面接が課せられることが多いためです。有名な英語能力テストを語学資格試験対策のためのカリキュラムに組まれている学校では、語学スキルを高めながら編入学試験にも有利となる学習をすることができます。万が一、編入学試験に合格できなくても学校でビジネススキルは身についているため、就職で不利になることはないでしょう。
専門学校の入試方法とは
大学への編入学を目指すにしても、短期間で実践的なスキルや資格を取得するにしても、専門学校に入るためには入試を受けなくてはなりません。最もニーズの高い医療系分野では、一般入試のほか、推薦入試、社会人入試の3つが一般的であり、AO入試はほとんど実施されていません。試験は調査書などの提出による書類審査と面接が一般的で必ず面接が実施されます。また、学校によっては学科試験や小論文が課せられることもあります。詳細な入試科目や方法は学校によって異なるため、サイトを使ってチェックするといいでしょう。
医療系以外の分野の入試では、AO入試が導入されていることがほとんどです。出願期間は6月から8月が一般的となっていますが、都道府県によって違うので事前に確認しておいた方がいいでしょう。書類審査と課題の提出などが主な選考基準となりますが、出願前にエントリーして仮申し込みをしてから本出願という流れになるのが普通です。本出願してから合格内定を得ることができます。出願のタイミングが夏季休業中となることも多いため早目に高校に調査書などの必要書類作成の依頼をしておくことを忘れないようにしましょう。
推薦入試には、指定校推薦、自己推薦の2つがあり、指定校推薦は高校に希望する専門学校の指定校推薦枠があることが前提となります。定められた評定平均をクリアしていること、欠席や遅刻などがないことが条件となるため、指定校推薦に達しない場合は自己推薦で出願するといいでしょう。
一般入試は、成績が一定基準に届いておらず、出席状況にも不安がある場合の方に向いています。書類審査の他、小論文や学科試験などが課せられることが多いため、試験に向けた準備が必要となります。