鍼灸師になるにはどうしたら良い?
鍼灸師のはりは針、きゅうはモグサなどを使用した灸を指します。近年、需要の高まりとともに開業する方も増えてきている業界で、独立を考えて、専門学校に通う社会人の方も増えてきているようです。
鍼灸とは、はりやきゅうを使って全身に存在する経穴(けいけつ)と呼ばれるツボを刺激することで、カラダの内側からその人の自然治癒力を高める治療を行う人を鍼灸師といいます。
患者さんとコミュニケーションを取り、脈診、舌診、腹診、皮膚の状態、背中の状態などから、診断します。 患者さんの状態の把握ができたら、はりの太さ、はりをする深さや、方向、モグサの種類やお灸の回数、使うツボを決めていきます。
患者さんの体調を回復させるためにもっとも適した方法は何かを探り、いつまでにどこまで回復させるかを決めて、施術を行います。
また、鍼灸師は施術ではりやモグサを直接人体に用いるので、実際に施術をする際には、国家資格が必要になります
鍼灸師の仕事内容
鍼治療は、主に気の流れを調整し、内蔵や自律神経等を活発にするための治療内容です。ごく浅い針で調整するのが基本です。 施術方法としては、非常に細いステンレス製のはり(長さ約40mm~80mm、太さ直径0.17mm~0.33mm)を経穴(ツボ)に刺入します。刺入方法は、主に管鍼法と言って円形の合成樹脂製の筒を用いて刺入する方法です。中国で行われている方法として筒を使わずに鍼を親指と示指でつまみ刺入する方法も行われていますが、日本では管鍼法が主に採用されています。経穴(ツボ)に刺入した鍼は一定の刺激を加え直ぐに抜く方法と10~15分間置いておく方法があり、施術者の判断で選択されます。また、刺入した鍼に、微弱な低周波パルス通電をする場合もあります。
灸治療は、艾(もぐさ)を用いて経穴(ツボ)に熱刺激を加える方法で、一般的に「やいと、お灸」と言われています。その方法は、艾を直接皮膚上に乗せて着火させる直接灸と、艾と皮膚の間を空けて行う間接灸とに分けられます。 灸治療は、気の流れと共に、血(ケツ)の循環を良くする治療内容です。血の循環をよくすることで、不眠・めまい・しびれ・筋肉痛等様々な症状を改善します。
灸は慢性的な疾患や、体質を改善する事にも適しています。
施灸後は、皮膚に水泡が出来たり灸痕が残りますが、「温灸」や「八部灸」、「灸点紙」などを使用する場合は、灸の痕がつかないようになります。
間接灸は、艾と皮膚の間に空間を作ったり、熱の緩衝材を入れて温和な熱さにしておりますので気持ちの良いものです。
なるには資格試験が必須
鍼灸師として仕事をするには、国家資格の取得が必要です。
しかし、そもそも「鍼灸師」という資格はありません。「はり師」と「きゅう師」それぞれの資格を取得している人が、一般的に鍼灸師と呼ばれています。
高校や大学を卒業後、はり師・きゅう師の育成課程がある専門学校などで最低3年間学び、受験資格を取得して国家試験を受験します。 国家試験に合格すると、はり師・きゅう師の資格を取得できるようになります。
はり師・きゅう師の国家試験は、「財団法人 東洋療法研修試験財団」主催により、年に1回実施され、毎年2月下旬に筆記試験が行われます。 試験科目はり師ときゅう師で分かれています。
試験科目には、はり師・きゅう師ともに解剖学、生理学、衛生学、公衆衛生学、病理学、臨床医学総論などの基礎的な医学知識を問う内容が含まれています。また、はり師の試験にははり理論や東洋医学概論、きゅう師の試験にはきゅう理論が加わります。これらの試験は専門的な知識が求められるため、しっかりとした学習が不可欠です。
さらに、国家試験に合格した後も、継続的な学習が重要になります。医療技術は日々進化しており、新しい治療法や技術が次々と登場します。鍼灸師としての技術を向上させ、患者に最良の治療を提供するためには、研修会やセミナーに参加し、最新の知識を常に学び続けることが求められます。
また、実際の施術においては、患者一人ひとりの体調や症状に応じた的確な判断力と繊細な技術が必要です。これには、経験を重ねながら、患者とのコミュニケーション能力を高めていくことも大切です。鍼灸師としてのキャリアを築くには、資格取得後も常に自己研鑽を続ける姿勢が成功の鍵となります。